SONY DSC-HX5V

 ソニーのデジカメって命名規則が複雑でわからないですよね。この子、映像センサーにCMOSではなくCCDを載せた兄弟機、H55というのが居るのですが、どうしてそんな名前になったのやら。さて...

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そんなわけで、ざっくりご紹介しましょう。10メガピクセルの豆粒センサーに25-250、当時最新のエクスモアとかビオンズとか色々乗っけた挑戦的なコンデジです。諸々込み200g強。片手持ちでもぜんぜんイケちゃいます。

f:id:Shirauo:20240128024802j:image地面スレスレから片手持ち。固定液晶、寝そべって画面を見るわけにもいかず、ということはノールックショットです。でも撮れちゃう

 初めて触ったのは、小学校を卒業して中学校に上がるはざまの春休みの、父とベルリンへ弾丸旅行した時です。父が買ってすぐに使わなくなったものを譲り受けたのです。おんぼろですが、これがまた結構楽しい。連写やパノラマ合成、レンズシフト式手ぶれ補正とか、機能が多彩ですから結構何でも撮れちゃいます。

暗部の諧調が非常に優れていて、HDRとまでは行きませんが、カラーネガフィルムっぽいラティチュードの広さがあります。


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この階調の良さは好きですね、個人的には。いちおう、HDRモードというのが搭載されていますが、こんなのよりは普通に撮ってあとで少しコントラストを調整するだけで十分といった感じです。

 レンズはソニーコンデジ御用達のツァイスではなくG。ただ、古いせいなのか表面のコーティングが剥がれてるのか、光が結構滲むんですが...

f:id:Shirauo:20240128022745j:imageおや
f:id:Shirauo:20240128022750j:imageおやおや?
f:id:Shirauo:20240128022753j:imageおおお 滲み方がすご〜くよい...いえ個人的にですよ?あくまで。でもね、こんな感じの滲みは大変好きです。

このカメラ、よし撮るぞと思って撮ると残念無念な写りですが、ただのスナップ気分で撮りたいと思ったところを脊髄反射的に撮ると...思い出らしいと言いましょうか?古いビオンズ特有の癖のある色が相まって、記憶を思い起こすのにすごくちょうどいい写真を吐き出してくれるんですね。

チェキ的な感じでしょうか?あれは触ったことないのでわかりませんが。

 しかし良いことばかりでもなく、色がちょっと…クセが強めというか、緑っぽいし、赤や紫系の再現が非常にへたくそ。それにホワイトバランスの細かい設定はできません。あとはローパスフィルターに乗った埃を取る術もないので、撮った写真のどこかにかならずその影が写ったり。f:id:Shirauo:20240128024527j:image分解清掃しましたが、またすぐどこからか入った埃がついた上に、光学系を下手にいじったせいで望遠端が甘々になってしまう始末。自業自得ですが悲しい。

まともなカメラを買うお金がなくて結構長いことお世話になりました。手のひらに250mmまで伸びるズームがあるのは楽しくて、これで近くの鳥とか、あとは月とか、そんなのを撮るのに使っていました。

でもそんなのより、ポッケに放り込んでおいて学校などでパチンと撮ったののほうが、あらためて"良い"ですね。写真の楽しさを教えてくれたカメラでした。